間接部門は目標が作れない、は本当か?

「間接部門は数字を持てないから、目標が作れないんですよね」

人事、総務、経理、情シス。
こうした間接部門の目標設定の話になると、かなりの確率でこの言葉が出てくる。

一見すると、もっともらしい。
売上を直接つくっているわけでもない。
利益責任を負っているわけでもない。
だから「目標が立てづらい」。

でも、ここで一度立ち止まって考えたい。

本当に難しいのは、
数字がないことなのか。
それとも、
目標そのものが作れていないことなのか。


目次

■ 「数字がないから目標が作れない」という思い込み

多くの会社で、
「目標=数値目標」
という前提が、無意識に置かれている。

売上いくら
利益いくら
件数いくつ

だから間接部門の話になると、こうなる。

「売上ないしな…」
「数字、持てないよね」
「じゃあ定性的でいいか」

でも、そもそも目標とは何だろうか。

目標とは、
この部門は、どんな状態を目指すのか
を明確にすることだ。

数字は、その状態を測るための“手段”であって、
目標そのものではない。

ここを取り違えると、
間接部門の目標設定は、いつまでも形にならない。


■ 間接部門が目標を失う瞬間

間接部門の目標が機能しなくなる典型的なパターンがある。

「去年と同じで」
「大きなミスがなければOK」
「現場が回っていればいい」

一見、現実的な判断に見える。
でも実はこの時点で、目標は存在していない。

なぜなら、

・ミスがない
・止まらない
・滞りなく回る

これらはすべて、
**“最低限の前提条件”**だからだ。

目標とは、本来
「今よりどう良くしたいのか」
「どんな状態を目指すのか」を示すもの。

現状維持を前提にした瞬間、
間接部門は
変化を語らない部門になってしまう。


■ 目標が作れない本当の理由

間接部門の目標が作れない会社を見ていると、
共通していることがある。

それは、

その部門に、何を期待しているのかが言語化されていない
ということだ。

・早さを求めているのか
・正確さを重視しているのか
・改善まで担ってほしいのか
・現場をリードしてほしいのか

この「期待」が曖昧なまま、
「目標を作って」と言われても、
作れるはずがない。

これは部門の能力の問題ではない。
方向が示されていない設計の問題だ。


■ 目標がないと、評価も育成も壊れる

目標が曖昧な部門では、必ず次のようなことが起きる。

・評価が感覚になる
・上司の主観が強くなる
・頑張りが伝わらない
・成長実感が持てない

結果として、間接部門ほど

「評価されない」
「報われない」
「やりがいが見えない」

という声が出やすくなる。

個人の問題ではない。
完全に組織設計の問題だ。


■ 間接部門の目標は「良い状態」を定義すること

間接部門の目標設定で、最初にやるべきことは
数字を探すことではない。

「この部門が機能している状態とは何か」
を言葉にすることだ。

たとえば人事なら、

・現場が採用で困っていない状態
・新人が早期に立ち上がれている状態
・育成が属人化していない状態

経理なら、

・月次が安定して締まっている状態
・数字が経営判断に使われている状態
・突発対応が減っている状態

総務なら、

・社員が本業に集中できている状態
・問い合わせが整理され、迷わない状態

これが「目指す状態」。
これこそが、間接部門の目標だ。


■ 目標が決まれば、数字はあとからついてくる

目指す状態が明確になると、

・何を減らすのか
・何を早くするのか
・何を安定させるのか

が自然と見えてくる。

その結果として、

・時間
・件数
・割合
・頻度

といった数字が、
あとから必要に応じて設定される。

逆に言えば、
状態が決まっていないまま数字を探すから、
「目標が作れない」と感じてしまう。


■ 「目標が作れない部門」は存在しない

間接部門の目標が作れないと言われる会社で、
実際に起きているのはこれだ。

・役割が曖昧
・期待が曖昧
・成功状態が曖昧

だから、
目標が作れない。

数字の問題ではない。
能力の問題でもない。

設計と言語化の問題だ。


■ まとめ

間接部門は、
数字を持てない部門ではない。

目標を定義してもらえていない部門だ。

・どんな状態を目指すのか
・何を良しとするのか
・どこまでできれば合格なのか

これが決まった瞬間、
間接部門の目標は作れる。

数字は、
そのあとでいい。

間接部門の目標を作れるかどうかは、
その会社が
「人と組織をどう設計しているか」
を映す鏡でもある。

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