人事制度は完成した瞬間から形骸化が始まる

「うちは人事制度がないんですよ。」
中小企業の経営者から、よく聞く言葉です。
だから人事制度を作ろう、評価制度を作ろう、という話になります。
もちろん、それ自体は大事なことです。
評価基準がない会社より、ある会社の方がいい。
賃金が場当たり的に決まる会社より、ルールがある会社の方がいい。
ただ、現場で多くの会社を見ていると、あることに気づきます。
制度がある会社が強いわけではない。
制度を使っている会社が強い。
実はここに、大きな差があります。
「制度を作った会社」で止まる会社
人事制度プロジェクトは、多くの会社でこんな流れになります。
・評価制度を作る
・等級制度を作る
・賃金制度を作る
そして数ヶ月かけて制度を完成させます。
資料もきれいにまとまり、説明会も実施されます。
社員にも制度ブックが配られます。
ここまでくると、多くの会社はこう思います。
「これで人事制度が整った」
でも、ここからが本当のスタートです。
ところが実際には、ここで終わってしまう会社がとても多い。
最初の評価だけなんとか実施して、その後はこんな状態になります。
「評価の付け方がよく分からない」
「忙しくて面談ができていない」
「去年の評価を参考に今年も決めた」
結果として、制度はあるけれど、実際にはほとんど使われていない。
こういう会社は、決して少なくありません。
本当に難しいのは「制度の運用」
制度を作ること自体は、実はそこまで難しいことではありません。
設計の考え方はある程度整理されていますし、外部のコンサルを入れれば形は作れます。
でも難しいのは、そこからです。
制度を使い続けること。
これが一番難しい。
例えば評価制度。
評価制度は、紙の上ではとてもきれいに設計できます。
評価項目も整理されている。
等級定義も明確。
評価基準も書いてある。
でも、現場ではこんなことが起きます。
「この人の評価ってどうつければいいんだろう」
「頑張ってるけど成果が出てない場合どうする?」
「この人とこの人、どっちが上?」
評価は、人が人を評価するものです。
つまり、現場の管理職が使えない制度は、どんなにきれいでも機能しません。
ここを乗り越えないと、制度は形だけになってしまいます。
強い会社は「制度を会話にしている」
制度が機能している会社には、ある共通点があります。
それは、
制度が会話になっていること。
例えば評価制度であれば、
「この評価項目って、うちの仕事に合ってるかな?」
「この等級の期待役割ってこういう意味だよね」
「この行動って評価基準に当てはまるよね」
こんな会話が、日常的に出てきます。
制度が単なる資料ではなく、共通言語になっている。
こうなると制度は一気に強くなります。
評価の納得感も上がります。
育成の方向性も揃います。
会社としての基準も見えてきます。
制度は「書いてあること」ではなく、
みんなが理解していることで動くものなんです。
浸透には時間がかかる
もう一つ大事なことがあります。
それは、制度はすぐには浸透しないということです。
人事制度は、会社の文化に関わる仕組みです。
だから一度説明しただけで、すぐに理解されるものではありません。
むしろ最初は、
「難しい」
「よく分からない」
「前の方が楽だった」
こういう反応が出るのが普通です。
ここでやめてしまう会社もあります。
でも、制度が定着する会社は違います。
・評価面談を何度もやる
・管理職とすり合わせをする
・制度を少しずつ改善する
こうやって、使いながら育てていくんです。
人事制度は完成品ではありません。
運用の中で良くなっていく仕組みです。
制度は「作る仕事」ではなく「育てる仕事」
人事制度というと、多くの人はこう思います。
「制度を作ることが仕事」
でも実際には違います。
本当に大事なのは、制度を会社の中で使える形にすること。
つまり、
・管理職が使える
・社員が理解している
・評価が会話になる
こういう状態を作ることです。
制度の完成度よりも、運用の成熟度の方がはるかに重要です。
現場で強い会社は、必ずここを大事にしています。
制度を一度作って終わりではなく、
毎年見直しながら、少しずつ会社に合う形にしていく。
この積み重ねが、組織の強さになります。
人事制度は「スタートライン」
人事制度を作ることは、もちろん大事です。
でもそれはゴールではありません。
むしろ、スタートラインです。
制度がある会社と、制度がない会社。
この差ももちろんあります。
でも本当の差は、制度を使っている会社と、使っていない会社。
ここで生まれます。
制度は、作るときよりも、使い続けるときの方がはるかに価値が出ます。
もしこれから人事制度を作ろうとしているなら、
ぜひこう考えてみてください。
「どう作るか」ではなく、
「どう使い続けるか」。
そこまで考えた制度は、必ず会社を強くします。
MAUE consulting 人事コンサルタント
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