社長と社員で視座が違うのは当たり前。その“ズレ”をどう埋めるか

企業の現場でよく起きていることの一つに、
「話が噛み合わない」という状態があります。
社長は「もっと考えて動いてほしい」と感じている。
一方で社員は「何を求められているのかわからない」と感じている。
どちらかが間違っているわけではありません。
このズレの正体は非常にシンプルで、
社長と社員では“見えている景色=視座”が違うからです。
そして重要なのは、この違い自体は問題ではないという点です。
むしろ、立場が違えば視座が異なるのは当然のことです。
問題は、その違いを前提に設計されていないことにあります。
なぜ視座の違いが生まれるのか
まず、視座の違いがどこから生まれるのかを整理する必要があります。
一つ目は、情報量の違いです。
社長は売上や利益、資金繰り、将来の投資計画など、会社全体の情報を持っています。
一方で社員は、自分の担当業務や目の前のタスクに関する情報が中心です。
この時点で、判断の前提条件が大きく異なっています。
二つ目は、意思決定の責任範囲の違いです。
社長は会社全体の意思決定に責任を持ちますが、社員は自分の業務範囲に責任を持つことが基本です。
責任範囲が異なれば、考え方も変わります。
三つ目は、時間軸の違いです。
社長は中長期の成長やリスクも含めて意思決定を行います。
一方で社員は、どうしても目の前の業務や短期的な成果に意識が向きやすくなります。
これらが重なることで、「同じ話をしているのに理解がズレる」という状態が生まれます。
ズレを放置すると起きること
この視座のズレをそのままにしておくと、組織にはいくつかの問題が生じます。
まず、指示の意図が伝わらなくなります。
社長としては背景や目的を踏まえて指示を出しているつもりでも、社員にはその意図が見えません。
結果として、「言われたことだけをやる」という動きになります。
次に、社員側に“やらされ感”が生まれます。
なぜそれをやるのかが理解できないまま仕事を進めることになるため、主体性が生まれにくくなります。
そして、経営側にはフラストレーションが溜まります。
「なぜ動かないのか」「なぜ意図が伝わらないのか」と感じるようになります。
この状態が続くと、組織全体のスピードも質も落ちていきます。
視座を「上げる」のではなく「揃える」
ここで多くの企業が取りがちなのが、
「社員の視座を上げよう」というアプローチです。
もちろん、それ自体は間違いではありません。
しかし、単に「視座を上げろ」と伝えるだけでは、現場は変わりません。
なぜなら、視座は一方的に引き上げるものではなく、
“揃えていくもの”だからです。
つまり、社長の見ている景色をそのまま求めるのではなく、
社員が理解できる形に“翻訳”していく必要があります。
では、どうやってズレを埋めるのか
ここからが実務的に最も重要なポイントです。
視座のズレは、意図的に設計しない限り埋まりません。
5W1Hの観点で整理すると、具体的な打ち手が見えてきます。
まずWhat(何を共有するか)です。
すべての情報を共有する必要はありませんが、意思決定の背景となる情報は意図的に開示する必要があります。
例えば、なぜこの施策をやるのか、会社としてどこを目指しているのかといった部分です。
次にWhen(いつ伝えるか)です。
何かを決めた後に結果だけを伝えるのではなく、検討段階から少しずつ共有することが重要です。
プロセスを知ることで、納得感が大きく変わります。
そしてWho(誰が伝えるか)です。
ここは非常に重要で、社長が直接すべてを伝える必要はありません。
むしろ、マネージャーが“翻訳者”として機能することが求められます。
上からの意図を、自分の言葉で現場に伝える役割です。
最後にHow(どう伝えるか)です。
抽象的な言葉ではなく、具体的な行動レベルまで落とし込むことが必要です。
「利益を意識してほしい」ではなく、
「この業務ではどのコストとどの成果を見て判断するのか」まで言語化することが重要です。
視座の違いを前提にした組織づくりへ
社長と社員の視座が違うこと自体は、避けられません。
むしろ、その違いがあるからこそ、それぞれの役割が成り立っています。
だからこそ重要なのは、
その違いをなくそうとすることではなく、
違いがあっても噛み合う状態をつくることです。
視座を無理に引き上げるのではなく、
間をつなぐ設計をする。
その積み重ねが、
「言われなくても動く組織」につながっていきます。
一度、自社の中で
“どこで視座がズレているのか”
“誰が翻訳しているのか”
を見直してみると、次に取るべき打ち手が見えてくるはずです。
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