研修を“やりっぱなし”にしないために、誰が・いつ・何をするのか

先日、ある企業様との打ち合わせの中で、こんなご相談をいただきました。
「研修の重要性は理解しているのですが、その後どう動かせばいいのかが分からないんです」
このご相談は非常に多くいただきます。
研修そのものは実施している。
内容にも一定の納得感はある。
それでも組織が変わらない理由は、シンプルです。
“その後の動き”が決まっていないからです。
では具体的に、どのように設計すればよいのでしょうか。
ポイントは、「誰が・いつ・何を・どのように・なぜ・どこでやるのか」を明確にすることです。
■Who:誰がやるのか
まず最初に決めるべきは、「誰がやるのか」です。
ここが曖昧なまま進めてしまうと、確実に形骸化します。
研修後の取り組みは、人事だけでは完結しません。
実際に行動を変えるのは現場であり、特に管理職の役割が極めて重要です。
そのため、基本の役割分担は以下のようになります。
・人事:全体設計と仕組みづくり
・管理職:現場での実行とフォロー
・経営:優先順位とメッセージの明確化
この三者がそれぞれの役割を果たすことで、初めて仕組みとして機能します。
■When:いつやるのか
次に重要なのが、「いつやるのか」です。
多くの企業では、ここが曖昧なために継続されません。
研修直後は意識が高まりますが、
時間が経つにつれて優先順位が下がっていきます。
そのため、あらかじめスケジュールとして組み込むことが必要です。
例えば、
・研修後1週間以内に実践内容を決める
・2週間後に進捗確認を行う
・1か月後に振り返りの場を設ける
といった形で、時間軸を明確にします。
ポイントは、「思い出したときにやる」のではなく、
最初から予定に組み込むことです。
■What:何をやるのか
次に、「何をやるのか」です。
ここで注意すべきは、抽象的な表現にしないことです。
「コミュニケーションを強化する」
「マネジメントを改善する」
このような表現では、行動につながりません。
重要なのは、具体的な行動に落とし込むことです。
例えば、
・部下との1on1を月2回実施する
・週に1回、必ずフィードバックの時間を設ける
・会議で全員から意見を引き出す
このように、誰が見ても同じ行動がイメージできるレベルまで具体化する必要があります。
■How:どのように進めるのか
行動が決まったら、「どのように進めるのか」を設計します。
ここで重要なのは、“やりっぱなしにしない仕組み”を組み込むことです。
具体的には、
・実施状況を上司が確認する
・定例会議で取り組みを共有する
・簡単な報告フォーマットを用意する
といった方法があります。
ポイントは、負担になりすぎない形で継続できるようにすることです。
過度に複雑な仕組みは、かえって続きません。
■Why:なぜやるのか
意外と見落とされがちなのが、「なぜやるのか」です。
現場は常に多くの業務を抱えています。
その中で新しい取り組みを優先するためには、納得感が不可欠です。
そのため、
・なぜこの取り組みが必要なのか
・何を目指しているのか
・どのような成果につながるのか
を明確に伝える必要があります。
特に経営からのメッセージは非常に重要です。
ここが曖昧だと、「やらなくてもいいもの」と認識されてしまいます。
■Where:どこで定着させるのか
最後に、「どこで定着させるのか」です。
研修の内容は、研修の場だけでは定着しません。
重要なのは、日常業務の中に組み込むことです。
例えば、
・1on1の場で実践する
・会議の進め方に取り入れる
・評価面談で振り返る
といったように、普段の業務の中で使う機会をつくることが必要です。
これにより、「特別なこと」ではなく「当たり前の行動」として定着していきます。
■形骸化を防ぐために
ここまで5W1Hで整理してきましたが、最後に一つだけ強調したいポイントがあります。
それは、
「誰かが見ている状態」をつくることです。
人は、見られていないことは続きません。
逆に言えば、
・確認される
・フィードバックされる
・評価に反映される
こうした状態があれば、行動は継続しやすくなります。
仕組みとしてここまで設計できているかどうかが、形骸化するかどうかの分かれ道になります。
■最後に
研修を実施すること自体は、決して難しいことではありません。
しかし、それを組織の変化につなげるためには、
・誰がやるのか
・いつやるのか
・何をやるのか
・どのように進めるのか
・なぜやるのか
・どこで定着させるのか
この6つを明確にする必要があります。
研修はあくまでスタートです。
その後の動きをどこまで設計できるかが、組織が変わるかどうかを大きく左右します。
もし現在、研修の効果に課題を感じているのであれば、
一度この5W1Hの観点で見直してみてください。
そこに、組織を動かすための具体的なヒントがあるはずです。
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